トムソン ギターについて

 トムソンアコースティクギター

 

 私の子供の頃というか、よく覚えているのは中学から高校に入った頃。

雑誌の広告で常に目にしていました。

 

 とにかく当時は安価な3流ギターだったと記憶しています。

 

当時のエレキギターと言えばとにかく「グレコ」。

 

 当時、高校1年になった私が初めて見たトムソンの実物は、ギター好きな同級生が親戚のおじさんからもらったというトムソンのエレキギター

 

 ストラトだったと思うんですが、雑誌の広告ではいつも見ていたんですが実物を見たのはそれが初めてでした。

 

 グレコエレキギター実物はずっと前から常に目にしていたんですが。

 

当時の私の感想は、グレコエレキギターに比べたら何だか、ボディの厚みがとにか無い。

 グレコの3分の2くらいだったような気がします。

それに、ちゃちい。

要するにおもちゃの様に見えていました。

 

 持っているのが恥ずかしいレベルだったと思います。

 

音は効いたことがなかったので記憶にありません。

 

 しかし、時は流れ今、私の手元にあるトムソンアコースティクギター。

 

確かにヘッドにはTomsonと記載されていはいますが、製造はあのKiso Suzukiです。

 

 私がこのトムソンのアコギに惹かれ最近手に入れた理由は、今私が持っているKiso SuzukiのアコギW150があまりにも、あまりにも素晴らしかったので、Kiso Suzukiのアコギをもう一本欲しかったからです。

 

 これまで日本製のアコギといえば、ヤマハはモーリス以外待ったく知りませんでした。

 

ましてやトムソンのギターなど、眼中にありませんでした。

 

が、何年か前に〇―〇オフのジャンクコーナーで出会い私が惚れこんでしまった、一生手元に置いておきたい(アコギを一本だけ残すとしたらこのKiso Suzuki w-150以外ありません)アコギ。

 

 それまでの概念が根本から崩れました。

日本製のギターといえばヤマハやモーリス以外でもこんな素晴らしいギターがあったのか・・・。

と実感したからです。

 

 私は、ネックのバンディングがあまり好きではないため高額?

(多分当時2万円以上のアコギにはネックにバンディングがしてある傾向があると思うんですが。)

 と言われるギターよりも私の手元にあるKiso Suzuki W150はネックにバンディングが施されていない値段的には最高位のギターだと思っています。

 

 少し長くなりますが、このKiso Suzukiアコギは、〇ー〇オフのジャンクコーナーに陳列されていた金額がなんと、500円。

 

 それには理由がありました。

ネックが折れていたんです。

 

 よくある転倒によるヘッド部分近くのネック折れ。

 

おまけに、サドルが天板から浮き上がり剥がれそうになっていました。

 

 これをジーと見ていた私は、どうせ500円ならこの3流メーカー(その時までKiso Suzukiのギターの事を全く知らなかったため)の国産アコギを自分で直してみよう!と気まぐれに思ったからです。

 

 とりあえずレジに持っていき購入。

家に持ち帰って早速ネック折れの修理についてYOU TUBEから知識を導入し、実践してみました。

 

 参考にしたのは、ギブソンレスポールのネック折れでした。

 

私の買ったKiso Suzukiのネック折れ部分とほぼ同じ個所だったのです。

 

ペグを全部外し、トラスロッドの穴のカバーも外し、ヘッド部分の横から見て真ん中あたりに入った亀裂の張り合わせ強化のためヘッドの上から何か所か穴を開け、亀裂部分を無理やり少しこじ開けタイトボンドを流し込む。

 

ヘッドに開けた穴にホームセンターから買ってきたローズウッドの棒をハンマーで叩きながら差し込みました。

4か所位だったと思います。

 

丁寧にヘッドギリギリで切断し、分からないようにノミで削っていきました。

 

ネック裏も丁寧にサンドペーパーで削り、剥げてしまった塗装をし直そうと何度も下地に着色したんですが、上手くいかず、まあ良いか・・・。

 

と諦めて乾燥のため放置。

 

それでもヘッド部分を正面から見るとほとんど穴あけの箇所も分からないくらいになりました。

 

天板から剥がれそうになっていたサドルも、YOU TUBEの動画を参考に見よう見まねでアイロンで温めながら無理やりひっぺ剥がしました。

 

残念なことに、剥がした場所の天板が一部剥がれてしまい、おかしなことになりましたが・・・。

 

 それでも気を取り直しサドルにタイトボンドを塗りたくり、万力で圧着させること数か月。

 

もういいだろう・・・。

と頃合いを図って万力を外し圧着部分を見ましたが、やっぱりサドルの下の方が0コンマ数mm程度浮いていました。

 

仕方ないと気を取り直し弦を張り弾いてみました。

 

物凄い良い音。

そして私にとって最高のネックの握り具合。

 

こんな・・・。?

 

びっくりしました。

私が今まで弾いていたヤマハのFG201は一体何だったんだ?

目から鱗が・・・・。

 

それから、必死になって弦高を自分好みに下げました。

ブリッジを限界まで削り、サドルまでサンダーで削りました。

 

ネックもバンディングが無いという私の好みそのままに。

 

外見は結構あちこち傷んでいますが私にとっては最高のアコギです。

 

本当に長くなりましたが、そんな思いがあるため、Kiso Suzuki製とある以上どうしても欲しくなって、買ってしまいました。

 

 現状の状態は最悪で、マシンヘッドはあちこち錆びネックは逆ぞり、ナットの溝は前のオーナーが何を考えたのか削りまくり3弦などは、解放でビビるしまつ。

逆ぞりのネックはトラスロッドが生きているか確認するために店で店員に六角レンチを借りて回してみました。

 

 大丈夫、効いている。

 

思い切って購入したのが、今回のトムソンアコギ。

 

マシンヘッドをヘッドから外し錆び取り磨き、油を注ぎ正常に戻し、ネックは悩んだ挙句万力で順反りにしながらアイロンの蒸気を当てて直しました。

 

 ナットとブリッジは牛骨を加工して新たに取り付けました。

 

弦高も普通の高さに直し、まあ弾きやすい程度に調整。

 

弦を張り試し弾き。

 

良い音してます。

 

やっぱりKiso Suzuki Violinですね。

 

でも、私には最初に500円で買ったKiso SuzukiW150があるし、このKiso Suzuki製のアコギの良さを誰かにも知ってほしいと思い、オークションに出しました。

 

これです。

 

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