のこぎりの使い方

 誰もが皆、必要に迫られあるいは好きで使うことがある「のこぎり(鋸)」。

材木を切る。
ただこれだけの作業のために必要な道具だけれど、これを自由に使うことが簡単な様で相当難しい。

今は電動鋸、通称丸鋸があるから手作業で使う鋸は使わないと言う人がいるかもしれないけれど、
そういう人は、読まなくても大丈夫です。

鋸を使う時の最大のポイントは、見えない墨は切らない。
これに尽きます。

材料を寸法通りに図ること自体が難しいことだけれど、たとえば寸法通りに墨付けができたとして、実際に切る段階になると、切っている墨以外は見えないのが普通。
でも、大概自分が切っている墨の通りに確実に、間違いなく裏面も切れていると思い込んでいる場合が殆どだと思う。
これは、想像の世界であって、材が自分の思う通りに切れているということは、ほぼ無い。

これは、経験で確かめていくしか方法はないけれど、今切っている墨を切りながら、常に見えない墨を確認し、場合によっては、中断したりしながら切っていくこと。

ただし、最初に書いた通り「決して見えない墨」は切ってはいけない。

これさえ気にしながら鋸を使えば、直角に切ることも相当可能になる。
(これは経験が必要、誰もが絶対直角切れるとは言えません。)

丸鋸全盛期の現在でも、細かい箇所やどうしても手鋸でないと・・・。
という場面が必ずあると思うから、これを知っているかどうかで格段に制度は上がります。

ちなみに、職業訓練で教えてもらった順番を載せておきます。

1 材を据え付ける 工作台があれば工作台で切ってください。

2 ひき込み位置と角度を定める。 左手親指の爪先を切り墨の外角付近に当て、右手で(右利きの場合)鋸を持ち、第一関節を鋸身に当て鋸の刃先を切り墨に合わせて垂直に立てる。
 2-2切り墨に従い、直線に動かしてひき目を付ける。

3 ひき込み姿勢をとる
 3-1 材の手前角を左足で、上から押さえる。
 3-2 右足を前足の後へ同じ直線上の位置に置く。
 3-3 腰を曲げて上半身を前方に倒す。

4 ひき始める 
 4-1 のこぎりを15°~20°の角度で、外角の切り墨と、上端の隅をかね手に静かにひき込む。
 4-2 基本の角度は45°。

5 ひき込み速度を速める
 5-1 左手を柄頭に持ち添えて、両手で力を入れながら、ひき込み速度を増していく。(ひいていく時に決して左右に方を揺らさないよう、水平に動かす)
 5-2 のこぎりの角度をわずかに変えながら、上端、側面を交互にひき込む。
 5-3 のこぎりの歯先により、多少の曲り癖が出た時は、のこぎりの柄の握りをわずかにねじるように力を加えて曲りを防ぐ。

6 ひき終わり。
 両手で軽くひき込み速度は均等に。