やすせない

 朝日が昇って今日も一日が始まる。
その光景が清々しく見えるのも、淀んで見えるのも、全部自分の心が決めている。
人は心だと常々思っていた。
幼少の頃から、皆の話題に上っていた野球選手の事や芸能人の事等に賛同できずただ頷いていたり、誰かと比較する親の説教を聞きながらも、「そんなの嘘だ」と心の中で呟いてた。
 誰かと比較する意味って何?
誰かは偉い、誰かは凄い。それに比べてお前は・・・。
誰かと比べることの無意味さに気が付きながら反抗できず、ただ黙って聞くだけ。
 大学を卒業して、働き始める時に、自分の好きなことをしたいと考えていた。
しかし、社会の仕組みの中で安定を選んでいた。
何のために働くのか? 母親に訪ねたことがある。
「ご飯を食べるためだ。」と言われた時に、「????」と疑問符だらけになっていたが、明確な答えは見つけることができなかった。
 
 でも、今は分かる。
本当は誰もが皆自由なはずだって。
本来は自分の人生の貴重な時間を誰かの命令や誰かに渡すために働くんじゃないと。
今の世の中はとてつもなくそれができない状況になっている。
 心の中で相変わらず「嘘だ・・・」と呟きながらも世の中の状況に従っていなければいけない矛盾にやるせない思いで日々過ごすだけ・・・・。
ただ、木工をしている時は、楽しく、有意義で時間を忘れてしまう。
心を込めて、今自分ができることを精一杯つぎ込んで一鑿一鑿げんのうを叩く。

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