もったいない

古い家には家人のそれぞれの思い出があり、歴史がある。
「腕の良い大工に建ててもらったんだ。」とその家の老人は言っていた。
「大黒柱は一尺四寸ある欅だからね。」
「あまった木は玄関の框や踏み台に使った。」
確かに良い木を沢山使っている。
あらゆる箇所に大工が鑿で刻んだ木組みの様子が見える。
「でも、道が通るからもうじき壊してしまう。」と老人は寂しそうに言った。
建築基準法の定められてボルトによって繋ぐ前の木組みだけで建てられて家は、確かに内装は古くなっているけれど、柱や梁や一番重要な箇所はまだまだ・・・。
もったいないけれど、時代の流れなんだろうね。

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